夏期セミナー

     5月の(「対話の道」)の月間コラムでは、諸宗教対話について話しながら、真命山の活動の中で毎年の大学生向けコースがあることに触れました。その活動をすこし詳しく書きます。

    この短期コースは、北九州産業医科大学で人類学を担当している藤野教授の要請を受けて2001年から始まり、毎年、真命山でそこの大学生を対象に宗教について四日間の集中講座としてつづいています。テーマは、日本における多様かつ多元的な個人および社会の宗教生活について、異なる宗教信奉者、宗教実践者の共生や宗教間対話の進め方を取り上げています。
    藤野教授の人類学コースは、将来医者をめざす学生に、人の存在の偉大さを探り、また人の尊厳の根拠を示すことをねらいとしています。そのために、コースの中に人の生死の意味に関する宗教観を導入しているのです。この問題を探るために、藤野教授は学生に真命山諸宗教対話霊性センターもしくは曹洞宗聖護寺で四日間の体験をするよう勧めているのです。
    近年は、真命山コース参加希望者が倍増しました。昨年も今年も、二十名ほどが参加しました。一コース参加者十名として、同じコースを二度繰り返しています。参加学生は、日本の普通の状態を反映して、多くの青年と同じく、特に宗教を信じているわけでも、所属しているわけでもありません。
    コースは、宗教について導入的講話から始まり、宗教が果たしている個人的社会的役割を取り上げます。つづいて、日本で一般にみられる伝統的宗教として、神道、仏教、キリスト教を説明します。最後に、異なる多くの宗教との対話の正しい進め方について講義します。
    コース開講の収穫として、多くの参加学生たちから人とは何者か、人生の意味について知り、新しく限りなく広い視野を発見したことの感謝と満足を表明されることは、いつも嬉しいことです。