2018年度 : お正月

カトリック教会から神道の皆さまへの新年のごあいさつ

真命山日誌 1月

 日本では、人口のほぼ三分の二が新年を寺社参詣からはじめます。神道の場合、特にそうです。この新年を迎える準備は、社殿の前に門松を立てることから始まります。それは、公共の場や個人の住宅にも見られます。また、正門入り口や個人の住宅、時には公共のバスに注連縄を張り、また鏡餅を飾ります。鏡餅は祭壇の上とか、個人の住宅では、それぞれ適切な特定の場を神聖な場に見立てて飾ります。

 形象には、いろいろは解釈が込められています。今年の正月にも、真命山では門松を立て、注連縄を張り、鏡餅を備えました。それらは、確かに単なる飾りに過ぎないのですが、特に近年では、伝統文化的意義だとする説もありますが、それでも神道との繋がりを意味します。真命山は、諸宗教対話センターの顔ももっているわけですから、キリスト教会では、通常用いられない形象ですが、創立当初から、正月には、初もうでの聖なる礼拝の場として参拝客を受け入れる役割も果たしてきました。

今年も、御聖体の儀式をもって元旦を迎え、早朝、参詣する人々と一緒に初日の出に感謝しました。早朝、東を向いて立ち、初日の出を迎えることは、日本には、新年を迎える時のきわめて大切な儀式として伝承されてきたことです。

今年の元旦は、曇りでしたが、日の出の時刻を迎えて、東の空が茜色に染まりました。ですから、日の出がそれに代わり、参詣者たちの心を一つにし、皆さんで一緒に祈ることができました。ヨハネの福音第1章1~5、18節の朗読に詩編19、1~7節を唱和し、「ベネディクトゥス」を歌いました。このような次第でしたから、近隣から初もうでに来られた知人や友人の皆さんと例年のように元旦を祝いました。

新年を迎えるにあたり、毎年、わたくしたちが心がけていることは、ローマ教皇庁諸宗教対話評議会から発せられる新年の「神道の皆様への祝辞」を神道信奉者の皆様、神社の皆様、神道関係団体の代表者の皆様に伝達して差し上げることです。同時に、福岡教区に属する司祭の皆様にも、この「祝辞」のコピーをお届けし、その「祝辞」を介して神父様たちが、それぞれ近隣の神道の皆様と新年の伝統的挨拶を交わされることを期待しています。

真命山諸宗教対話センターにご協力くださっているすべての皆様にも、新年を迎えるにあたり、世界平和の実現、特に諸宗教間対話促進による平和実現の一端を共に担う喜びを分かち合うために、今回のHP日誌がお役に立ちますようお祈りいたします。

KADOMATSU - 門松

 KADOMATSU - 門松

SHIMENAWA - 注連縄

KAGAMIMOCHI -鏡餅

初詣のため真命山を訪れた家族

伝統的着物を着て、初詣する子供

 

 

2018 年 カトリック教会から神道の皆さまへの新年のごあいさつ

教皇庁諸宗教対話評議会

「世代間の断絶という課題に直面している現代、

神道の皆さまとキリスト者がともに手をたずさえて」

バチカン市国

 親愛なる神道の皆さま、

1.教皇庁諸宗教対話評議会より、日本の皆さま、とりわけ神道の皆さまに新年のごあいさつを申し上げます。新年のおめでたい日を迎え、初詣により、青年たちも含め、多くの人々が神社を参拝されることと思います。

2.ことしのごあいさつの中で、今日課題となっている、広がりゆく世代間の断絶について考えてみたいと思います。カトリック教会では、「青年、信仰と召命の識別」と題された世界会議を、2018 年 10 月に開催しようとしています。この会議の準備文書は次のように述べています。「今日の若者世代は、その両親や教師たちの世代とは異質の世界に暮らしている。経済的社会的変化は、責任とチャンス双方の全域に影響を及ぼし、青年たちの深い望み、ニーズ、感情、人間関係の持ち方もまた変化している」(2 項)。さらに次の点を強調しています。「こうした背景の中、古いアプローチはもはや有効には働かず、前の世代が経験してきたことは早々と時代遅れになるのである」(3 項)。

3.明らかに、世代間の断絶が拡大しているのは世界中での出来事ですが、とくに日本のような発展した国では顕著です。このことは、比較的年長の人と若い人が、その経験、意見、習慣や行動の違いによって理解し合うことが難しいことから分かります。異なる世代間の目に見える分断はまた、あらゆる世代を悩ます共通の問題、つまり孤独の問題を増大させます。両親と子どもたちは、現代の生活様式が足早に過ぎるので、ほとんどともに過ごす時間をもてないでいます。さまざまな人々の中で、コミュニケーションや交流がますます不足することにより、以前は、文化的宗教的遺産を継承し、高齢者の知恵を未来世代に伝える手段であった世代間の結びつきが弱まっています。

4.親愛なる友人の皆さま、こうした世代間の断絶に橋を架けるという共通の関心と務めを、わたしたちは共有しています。経験からわたしたちは、遺産として経済的繁栄を次の世代に残すだけでは、幸福も、世界の正義や平和も保障されないことを知っています。わたしたちが保持しているものは、次の世代に伝えられるべき真の宝です。つまりそれは、わたしたちそれぞれの宗教がもつ信仰の霊的遺産です。現在世界の問題となっている平和への脅威は、新たな世代が直視することが求められるものですが、軍事衝突や敵対心によって解決することはできません。知恵によって、また対話、忍耐、寛大さの力によってしか解決できないのです。これこそが、わたしたちが次の世代に継承すべき霊的遺産です。

5.教皇フランシスコは、青年たちがその祖父母や高齢者と密接な関係をはぐくむよう勧めています。生きる知恵を有する高齢者の声に耳を傾けるよう励ましています。また、祖父母の人たち自身、青年たちの大志や望みを理解するために、彼らに耳を傾けるよう指摘しています(バチカン放送局、2016 年 12 月 19 日のニュース参照)。このように、それぞれの世代は相互のかかわりを通じて、他の世代を養い支援していくことができるのです。

6.結局わたしたちは、本質的に関係性の中に生き、他者と意味あるかかわりを必要とする人間です。これまで見たように、かつてないほど広がった世代間の断絶に対する解決手段は、顔をつきあわせた交流の中で表現され、またデジタル機器を介しても表現される、愛と理解です。デジタル機器は、そうした背景で行われるなら、意味ある関係性のためのよい手段となりえます。

7.この新年のお祝いが、青年も、年長者もともに自分たちの宗教や伝統文化の価値を再発見し、世代間の距離に橋を架ける、幸いな機会となりますように。世界におけるキリスト者と神道の皆さまとの協力、努力により、年長者と青年たちがそれぞれの世代のたまものを真に理解し、社会を強固なものとすることができますように。この共通の望みをもって、あらためて皆さま、皆さまのご家族、皆さまを取り巻く社会の方々へ、心より新年のごあいさつを申し上げます。

神道の皆さま、明けましておめでとうございます。

                    教皇庁諸宗教対話評議会議長     ジャン・ルイ・トーラン枢機卿

                    同次官                    ゲル・アンヘル・アユソ・ギクソット司教